はじめてのPSR入門 | ファンダメンタル分析
2024-10-21
1. PSRとは?
PSR(株価売上高倍率:Price Sales Ratio)は、企業の株価が売上に対してどの程度評価されているかを示す指標です。PSRは、企業がどれだけの売上を上げているかに対して、その売上に見合った株価がついているかどうかを判断するために使われます。特に、利益が出ていない企業の評価に有用で、成長企業や新興企業の株価の割安さを判断する際によく使用されます。
PSRと売上の関係
PSRは企業の株価を1株当たりの売上高(SPS: Sales Per Share)で割ることで計算されます。PSRが低いほど、株価が企業の売上高に対して割安であると考えられ、高いPSRは割高であることを示す可能性があります。
例えば、ある企業の株価が1,200円で、1株当たり売上高(SPS)が400円の場合、PSRは以下のように計算されます。
2. PSRの種類
PSRには、実績ベースと予想ベースの2つの種類があります。それぞれ異なる目的で使用されます。
2.1 実績PSR
実績PSRは、企業の直近の決算に基づく売上高を使って計算されます。実績PSRは過去の売上高に基づいて企業の評価を行うため、現在の株価が企業の過去の売上に対してどの程度釣り合っているかを把握するのに役立ちます。
2.2 予想PSR
予想PSRは、将来の売上高予測に基づいて計算されます。特に成長企業では、将来の売上成長が期待されるため、予想PSRが実績PSRよりも低くなることがあります。このため、将来の成長を評価する際に重要な指標となります。
3. PSRの役割と特徴
PSRは、企業の売上高に対する評価を測るための指標として使われます。特に利益が安定していない新興企業にとって、売上の評価を通じて企業価値を理解するために有用です。
3.1 割安・割高の判断材料
PSRが低い場合、その企業の株価が売上高に対して割安である可能性があります。これは特に売上が伸びている企業において、将来の収益が期待されるときに有利な投資先であることを示すことがあります。一方で、PSRが高すぎる場合は、売上に対して市場が過剰に期待を寄せている可能性があり、リスクがあることを示すかもしれません。
3.2 成長企業の評価
PSRは、利益が少ないか赤字である成長企業の評価に使われることが多いです。こうした企業は利益率が低い場合もありますが、売上が急成長している場合、市場はその将来性に注目し、PSRを高めに評価することがあります。PSRを使うことで、こうした成長企業の売上高の成長に見合った適正な評価が行われているかを判断できます。
4. PSRの計算方法
PSRは次のように計算されます。
また、SPS(1株当たり売上高)は次の数式で計算されます。
例えば、ある企業の年間売上高が500億円で、発行済株式数が1億株の場合、SPSは次のように計算されます。
株価が1,500円である場合、PSRは次のように計算されます。
5. まとめ
PSR(株価売上高倍率)は、企業の売上に対して株価がどの程度評価されているかを知るための重要な指標です。特に利益が出ていない成長企業や新興企業において、その売上高に基づいて企業の価値を評価する際に役立ちます。PSRを利用することで、売上高を基に企業の成長性や株価の妥当性を判断できるため、特に成長志向の投資家にとって有用です。
この記事を参考に、気になる企業のPSRを計算してみましょう。成長企業の売上の伸びに対して株価が適正かどうかを評価する際に、PSRは強力なツールとなります。ただし、PSRだけでなく、他の指標や財務状況も併せて総合的に判断することが重要です。
注意事項
この記事は投資の推奨を行うものではありません。金融市場にはリスクが伴うため、投資を行う際は自己責任で判断し、必要に応じて専門家に相談してください。